Petrarca, F., Canzoniere

225


高貴に寛いだ十二の婦人たち,
否,十二の星々と,その只中の太陽が
小舟の上に楽しげに伴を連れず居るのを見た.
かつて他にこのような舟が波間を裂いたか私は知らない.
4


今日誰もが身に纏いたがるあの毛皮のもとへ
イアーソーンを連れて行った船も,
今なおトロイアが嘆くあの牧人の船も,
世にこれほど噂を生ぜしめた二人の船もこれには及ぶまい.
8


続いて私が目にしたのは,凱旋の車に乗る彼女らの姿,
我がラウレアが超然とした聖なる仕草で
離れたところに座し,心地よく歌う様.
11


その様は人の世のものでも,死すべき者の見る幻でもなし.
幸いなるかなアウトメドーンよ,幸いなるかなティーピュスよ,
かくも優美な方々を連れて行くお前たちは.
14


COM. ―― 6. イアーソーン:金羊毛皮を求めてアルゴー船の遠征を行った英雄. 7. 牧人:パリスのこと.一説ではイーデー山に捨てられた彼を羊飼いたちが拾い育てた.「船」とはパリスがヘレネーを攫った際のそれ. 10. ラウレア:Laurea. ラウラのラテン語形. 超然とした:schifi. ‘che mostrano il dispregio del mondo coi suoi diletti: è una stessa parola con schivo’ (Zingarelli). Cf. Rvf. 184. 7. 11. 離れて:他の婦人たちから. 13. アウトメドーン:トロイア戦争の際,アキッレウスの戦車の馭者を務めた. ティーピュス:アルゴー船の舵取り.

2017/09/08


▲戻る