Petrarca, F., Canzoniere

25


愛神は泣いていた,そしてその歩みから片時も
離れたことのない私もしばしば共に涙した,
苦しくまた予期しがたい出来事の末に
その縛めから解き放たれた貴方の魂を眺めつつ.
4


神がその魂をまっすぐな道へと導かれたゆえに
今私は両手を天に掲げて心より
主に感謝する,正しき人の祈りに
慈悲深くも神の恩寵が耳を傾け給うことに.
8


そしてこの恋愛の生へと戻った貴方は,
麗しき憧れに背を向けさせようとする
谷や山に道々出くわしたが,
11


それとて,真の徳へと至るための径の
いかに茨に満ち溢れ,またその山道の
いかに険しく厳しいものかを示すため.
14


COM. ―― 4. 縛め:恋の縛め. 貴方:次のソネット(Rvf. 26)と同じ人物,おそらくはペトラルカの友人に宛てられている.それが誰であるかは諸説ありはっきりしない.候補となる人物はTommaso Caloiro, Cino da Pistoia, Senuccio del Beneなど.

2017/11/26


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