ピロデーモス(前110年頃~前40年頃)はエピクーロス派の哲学者・詩人.メレアグロスやメニッポスと同じくガダラの出身で,アテーナイでエピクーロス派のゼーノーンに学んだ後イタリアへ移り,ルーキウス・カルプルニウス・ピーソーの庇護のもと活躍した.著作は哲学,修辞学,詩学など多岐に及び,その一部がヘルクラーネウムのピーソー邸跡からパピルスで発見されている.キケロー『ピーソー弾劾』(Cic. Pis. 68ff.)ではあるエピクーロス派の詩人・哲学者とピーソーとの関係が語られているが,詞華集に収められたピロデーモスの詩にもピーソーへ言及するもの(Gow-Page 23 (=AP. 11. 44))があり,両者は同一人物であると考えられる.ネアーポリスのエピクーロス派のもとへはローマの文人たちも通い,とりわけホラーティウスは詩人としても思想的にもピロデーモスの影響を受けたとされる.
τὸν σιγῶντα, Φιλαινί, συνίστορα τῶν ἀλαλήτων
λύχνον ἐλαιηρῆς ἐκμεθύσασα δρόσου
ἔξιθι, μαρτυρίην γὰρ Ἔρως μόνος οὐκ ἐφίλησεν
ἔμπνουν· καὶ πτυκτὴν κλεῖε, Φιλαινί, θύρην.
καὶ σύ, φίλη Ξανθώ με· σὺ δ᾿ ὦ φιλεράστρια κοίτη,5
ἤδη τῆς Παφίης ἴσθι τὰ λειπόμενα.
COM. ―― 5. 愛しのクサントー,私を……:ここで文章が不完全なまま呼びかけの対象が恋人から寝台へ切り替わるものとGow-Pageは考える.他方でφίλειに修正された写本もあり,その場合は《私を愛してくれ(接吻してくれ)》というクサンティッペーへの言葉となる. 6. このあとの……:τὰ λειπόμενα. Cf. cetera quis nescit? (Ov. Am. 1. 5. 25) パポスの女神:アプロディーテー.
2016/10/31
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