Petrarca, F., Canzoniere

227


あの縮れた金髪を包み靡かせ,
またそれにより動かされる微風ラウラよ,
あの甘美な黄金を散らし
また纏め,美しく結び絡めさす微風よ,
4


貴女のいるところからくる恋の蜂に刺され
私は此処でさえその痛みを感じ涙するほど.
そしてさながら影におびえ躓く獣のように
よろめきつつ我が秘宝を探しもとめる.
8


それを見つけたかと思えば,遠く離れていることに
気づき,気を取り直したかと思えば落胆する.
私の目に留まるのはときに理想,ときに現実.
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幸せなる大気よ,あの麗しき生ける陽射しと共に
とどまるがよい.そして流れる清らかなせせらぎよ,
どうして私は道を変えお前と一緒に行くことができぬのだろうか.
14


COM. ―― 2. 微風:aura. ラウラとの音の類似による連想. 5. 恋の蜂:Cf. ‘ché sì come vespi | mi pungon li sospir' cotanto spesso’《さながら蜂のごとく嘆息がかくも頻りに私を苛むから》 (Cino da Pistoia, Disio pur di vederla, 7f.). 8. 秘宝:ラウラ. 14. どうして……:詩人はラウラのもとから離れていくのに対し,それと反対方向に川が流れている.

2017/09/04


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