Petrarca, F., Canzoniere

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どんな屋根の雀も,どんな茂みの獣も,
私ほどに孤独であったことはない,
あの美しき姿を目にできず,さりとて
他の太陽も知らず,この眼は見るべきものを持たぬゆえ.
4


泣きくれることが私には思考の喜び,
笑うは辛く,食事は苦く毒のよう.
夜は苦悶,晴天も曇って見え,
寝床は苛烈な戦場となる.
8


まことに人の言うごとく,眠りは
死の血縁であり,心を生かし支える
甘美な思いを,その心から奪い去る.
11


この世に比類なき,恵み溢れる幸せな郷よ,
花咲く緑の岸辺よ,蔭豊かな丘よ,
我が幸福を,私は嘆くが,お前たちは持っているのだ.
14


COM. ―― 1. 雀:Cf. vigilavi, et factus sum sicut passer solitarius in tecto (Ps. 101. 7f.) このソネットを踏まえて,レオパルディもIl passero solitarioという詩を書いている. 6. 苦く:assentio. ニガヨモギ. 9f. 眠りは死の血縁:ヒュプノス(Ὕπνος《眠り》)とタナトス(Θάνατος《死》)は兄弟で,ともにニュクス(Νύξ《夜》)の子である.特にここでは『アエネーイス』でのconsanguineus Leti Sopor(Verg. Aen. 6. 278)を念頭に置いていると思われる. 14. 我が幸福:ラウラ.

2016/08/26


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