Petrarca, F., Canzoniere

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もしも愛の信義,偽りのない心,
甘美な憔悴,恭しい憧れが,
もしも高貴な火に燃える誠実な望み,
蒙い迷宮のうちの長き放浪が,
4


もしも顔に描き出されたあらゆる想い,
またときに恐れ,ときに恥じらいに阻まれて
途切れる声のうちに辛うじて読み取れる想いが,
もしも菫と愛に染まった蒼白さが,
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もしも自分以上に他の者を愛しく思うことが,
悲しみや怒り,苦しみを糧として
いつまでも嘆息と涙に暮れることが,
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もしも離れては燃え,近くでは凍てつくことが,
恋する我が身の潰えゆく原因ならば,
婦人よ,痛手は私のものなれど,その罪は貴女のものなのだ.
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COM. ―― 1ff. もしも……13行目まで《もしも》が繰り返されて条件が続き,最終行が主文になる. 8. 菫と愛に染まった蒼白さ:Cf. ‘tinctus viola pallor amantium’ (Hor. Carm. III x 14).

2017/09/03


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