Petrarca, F., Canzoniere

223


太陽が黄金の馬車を波間に濡らし
我らの空と我が心とが暗くなるとき,
星と月の光る天のもと,
不安に満ちた辛い夜が始まる.
4


そうして,哀れ,聞く耳持たぬ人に向け
私は己が苦難をひとつまたひとつと語り,
加えて嘆くのはこの世と我が盲目の運命,
愛,わが婦人,そして自らの身の上.
8


眠りは追いやられ,休息はまるで許されず,
ため息と嘆き,それから魂が眼へと
送り出す涙が朝まで続く.
11


やがて曙が訪れ,暗い空が白くなっても
私の心は暗いまま.私の苦痛を和らげられるのは
心を燃やし弄ぶあの太陽だけなのだ.
14


COM. ―― 2. 我らの空:詩人のいる北半球. 14. あの太陽:ラウラ.

2017/08/23


▲戻る