Petrarca, F., Canzoniere

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「喜ばしげにまた物憂げに,連れ立ちながら伴を欠き,
語りつつ道を往く婦人たちよ,
我が命,我が死は何処に居られるのか,
いつものように貴女方と一緒でないからお尋ねするが」
4


「あの太陽を思い起こせば喜ばしく,
一方,他人の幸せを己が不幸のごとく苦とする
『羨望』と『嫉妬』に奪われた
あの愛しい仲間のために沈鬱なのです」
8


「誰が恋する者を制し,掟を課することが出来ましょう」
「魂に対しては誰一人として.体に対しては『怒り』と『冷酷』が.
我らの時折経験することが今彼女の身に起こっています.
11


ですがしばしば人の心は表情に読み取れるもの.
我らは彼女の高貴な美しさが翳り,
その眼がすっかり露に濡れるのを見たのです」
14


COM. ――ラウラの女友達と詩人との対話体をとるソネット. 1. 喜ばしげにまた物憂げに:5-8行で説明される. 伴を欠き:ラウラがいないこと. 3. 我が命,我が死:ラウラ. 5. 太陽:ラウラ. 14. 露:涙.

2017/08/26


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