Petrarca, F., Canzoniere

221


いかなる運命,いかなる力,いかなる策略か,
武器も纏わぬこの私を,敗北が定められた戦場へ
連れ戻すのは.もしもそこから逃れられたならば
驚嘆すべきこと.もし命落とせば残るのは痛手.
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いや痛手どころかむしろ恩恵.それほどに甘美なのだ,
我が心の内にあるその火花と輝く閃光――
それは我が心を眩まし苦しめ,燃え立たせる――は.
そしてはや私は燃え続けて二十年目に至る.
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あの美しい眼が姿を現し,遠くから閃くのを
見れば,私は死を予感する.
そして彼女が近づきその眼を私へ向けるとき,
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愛神は私を傷つけ,それと同時に愛撫する.
その甘美さは再び語ることは勿論,思い返すことも出来ぬほど.
知力も舌も真実に届かぬゆえに.
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COM. ―― 2f. 戦場へ連れ戻す:再びラウラを見ること. 心の内にある:stanno nel mio cor. Cf. ‘questi son que' begli occhi che mi stanno | sempre nel cor colle faville accese’ (Rvf. 75, 12f.) 火花と輝く閃光:ラウラの眼の輝き.

2017/08/24


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