Petrarca, F., Canzoniere

199


おお,我が心を縛り,束の間に生を
締め括らんとする美しき手よ,
自然と天が誉れを得ようと
そのうちにあらゆる技と熱意を注いだ手よ.
4


東洋の五つの真珠が放つ色の,
ただ我が傷に対してのみ厳しく無慈悲なる,
清らかで優美なその指よ,相応しくも今愛神は,
私を豊かにすべくお前たちの露わになるのを許すのだ.
8


つややかな象牙と瑞々しき薔薇を包む
白く輝く高貴で尊い手袋よ,
この世にこれほど好ましい被服を見る者があろうか.
11


どうかあの麗しき顔衣ヴェールも同じようになってほしい.
ああ,人の世の定めなさよ.
だがこれも盗みゆえ,彼の人が私から奪いに来るだろう.
14


COM. ―― 8. 私を豊かにすべく:ラウラの手を見るという幸せによって. 9. つややかな象牙と瑞々しき薔薇:象牙は手の白さ,薔薇はその血色. 11. 被服:spoglie. 手袋のこと.Cf. ‘dulces exuviae’ (Verg. Aen. IV 651). 14行の《奪いに》(spoglie)とrima equivocaを成す. 14. これも盗み:手袋を自分のものにしてしまうならば. 彼の人:ラウラ.

2017/07/25


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