Petrarca, F., Canzoniere

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一日また一日と我が貌も髪も変わりゆく.
されど甘き餌のついた針から口を離すことはせず,
太陽も氷雪も意に介さない樹の,
罠が仕掛けられた緑の枝から手を離すこともしない.
4


私がその美しい木蔭を絶えず恐れ望むのを
止める前に,また隠しがたい愛の深い傷を
憎み且つ愛するのを止める前に,
海から水が,天から星が消え去るだろう.
8


この苦しみを終わらせる望みは抱けない,
我が骨,我が腱,わが肉が潰えるか,
我が敵が憐れみを見せてくれるまでは.
11


愛神が美しい眼で私の心に刻みつけた
傷痕を,死でもあの婦人でもない者が
癒すより前に,あらゆる不可能事が可能となる.
14


COM. ―― 3. 太陽も冷気も意に介さない樹:常緑の月桂樹ラウロ11. 我が敵:ラウラ.

2017/07/20


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