Petrarca, F., Canzoniere

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愛神よ,ともに我らの栄光を眺めていよう,
自然を超越し,高邁にして稀有なるその存在を.
よく見るがよい,彼女のうちにどれほどの甘美さが降り注ぐか,
見るがよい,地上にあって天を示すその輝きを,
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見るがよい,天の技が黄金をかけて真珠で飾り紅色に染めた
高貴な衣,他所では未だ見られたことのない衣を.
それを纏った彼女が足と眼をこの美しい山間の
影深き僧院へと運びゆく様は実に優美.
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年老いたか黒い常葉樫トキワガシの下にひろがる
緑の若草と数多の色の花々は
彼女の美しい足に踏まれ触れられることを願う.
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そして定めなく輝く火花に天は
燃え,核も美しい眼によって晴らされた
喜びをあらわに示すのだ.
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COM. ―― 1. 我らの栄光:ラウラのこと. 5f. 天の技が……高貴な衣:《衣》は魂の器としての肉体でラウラのそれ.すなわち黄金は金髪,真珠は白い歯,紅は頬の色を表すものと解釈する. 7f. 美しい山間の影深き僧院:ヴォクリューズ(ヴァルキウーザ)のこと. 12. 定めなく輝く火花:vaghe et lucide faville. ここでは星明りのことで,《定めなく》vagheとは特に惑星のそれか.なおこのソネットのVat. lat. 3196からの最も目立った変更点はvaghe angeliche favilleからの修正で,修正前の表現はRvf. 72, 37; 207, 31のもの(いずれも眼を指す)と通じ合う.

2017/07/19


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