Petrarca, F., Canzoniere

74


もはや私は考えることに疲れてしまった――
どうして貴女をめぐる我が想いは疲れることを知らないのか,
どうしてかくも苦しい嘆きの重荷を逃れるべく
この命を棄て去ってしまわずに居れるのか,
4


そして常々私が物語るあの貌,あの髪,
あの美しい眼を歌うため,
昼も夜も貴女の名を呼ぶ
言葉や声はどうして尽きることがないのか,
8


また多くの足取りを空しく費やしつつも
あらゆる所に貴女の跡を追い求めて
なおこの足が疲れ萎えてしまわぬことを,
11


そして貴女を讃えて埋め尽くす紙やインクが
何処から得られるのかを.もしそのうちに過ちがあったとしても
それは愛神のせいであって,我が技の欠如にあらず.
14


COM. ―― 13. そのうちに:ラウラを語り讃えるうちに.

2017/12/20


▲戻る