Housman, A. E., More Poems


私の詩は悲しいと人は言う.そうだろう.
 その短い調べが綴るのは
永遠の後悔と,我がものならぬ
 人の悲しみ.

これは未だこの世に生まれざる
5

 あらゆる不遇の仲間のためのもの,
彼らが苦難の中にあり,私がすでに在らぬとき
 読むための詩.

COM. ―― 3. 永遠の後悔:rue for eternity. 手稿の段階に異読があるらしく,tears of eternity《永遠の涙》とする版もある.その場合,ウェルギリウスのlacrimae rerum《人の世の涙》(Aen. 1. 462)と興味深い類似を示す.Cf. Ruth W. Brown, ‘The Classical in Housman's Poetry’, in Classical Journal 37, p. 225.


VII

星が落ちるのを私は見た,
 だが星が零れ死んでいっても
星鏤められた天からは
 ひとつとして星が失われることはない.
この世の労苦はどれもみな
5

 最初の過ちを救いはしない.
雨は海へと降り注げども
 海は渝らず鹹いまま.

COM. ―― 1-4. 星が……失われることはない:類想は例えば,Ov. Met., 2. 321f.; Dante, Par., 15. 13-18; Leopardi, Canti, 38. 25-7. 3. 星鏤められた天:Cf. Hor. Serm. 1. 5. 9f.


X

涙に濡れて昴は西へ
 そして月は海の下.
真夜中の涯てから涯てへ
 はるかに吐息を吹くは雨纏う風.

その吐息は失われた国から
5

 私の知らぬ土地へ吹く.
涙に濡れて昴は西へ
 そして私はひとり臥す.


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