Petrarca, F., Canzoniere
186
もしもウェルギリウスとホメーロスが,今私が
自らの眼で眺めるあの太陽を目にしたならば,
互いの詩風を取り混ぜながら
彼の人の誉れを高めるために全力を尽くしたことだろう.
4
そのことにアイネイアースは哀れにも困惑しよう,
アキッレウスやオデュッセウス,その他の半神たち,
そして五十六年にわたり実に善く世を
統べた者や,アイギストスに殺された彼の者も.
8
あの武勇と美徳の古き華も,
この高貴と優美の新しき華も,
なんとよく似た星の下にあることか.
11
エンニウスは前者を荒削りな詩で歌った.
私は後者を歌おう.願わくはせめてその華が
我が詩才を疎まず,我が賞賛を蔑することのなきように.
14
COM. ――
2. あの太陽:ラウラのこと.
7f. 五十六年にわたり……統べた者:アウグストゥスのこと.Cf. Suet. Aug. 8.
8. アイギストスに殺された彼の者:アガメムノーン.
9. あの武勇と美徳の古き華:スキーピオー・アーフリカーヌス.Cf. ‘flos Italiae’ (Afr. IX 24).
10. この高貴と優美の新しき華:ラウラ.
11. 荒削りな詩:Cf. Ov. Trist. I vii 39.
2017/07/28
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