Petrarca, F., Canzoniere
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この不死鳥は黄金の羽根で
美しい白く高貴な首筋に
人の技によらぬ飾りを作りなす.
その尊さはあらゆる心を魅了し,わが心を窶れさせる.
4
その作りなす自然のままの髪飾りは
あたりの大気に火を灯す.そして愛神の
音なき火打石が放つのは,細やかなる流体の炎.
それは真冬の寒さの中でさえ我が身を燃やす.
8
薔薇を鏤めた空色の裾を縁に持つ
緋色の衣が美しい肩を蔽う.
その服は未だ嘗てない,唯一無二の美しさ.
11
噂では,薫り高く豊かなるアラビアの山々の
奥地にこの鳥は棲み身を隠すというが,
真実は我らの空をかくも誇らしげに飛んでいるのだ.
14
COM. ――
1. 不死鳥は黄金の羽根で:「不死鳥」はラウラ,「黄金の羽根」は彼女の金髪.なお《黄金の》l'aurataがLauraの名前を含んでいる.
3. 人の技によらぬ:自然の,生来の.
7. 流体の炎:水のように浸透してくる炎.Cf. ‘liquidus ignis’ (Verg. Ecl. VI 33).
2017/08/02
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