Petrarca, F., Canzoniere
184
愛神と自然,そしてその場所にあらゆる美徳が
宿り治める麗しく慎み深き魂とが
私に謀略を仕掛けた.愛神はいつもの仕方に従って
私がすっかり死滅すべく知恵を巡らせる.
4
自然がこの魂を捉えておく絆は
実にか細く,どんな衝撃にも耐えられぬほど.
その魂の超然たる様は,もはや苦難多く卑しい
生のうちに住まうに値せぬほど.
8
かくして刻一刻と衰えゆくのだ,
真の優雅を映す,美しく高貴で
尊いその身体に宿る霊気は.
11
そしてもし「慈悲」が「死」の手綱を締めることを止めるなら,
哀れなるかな,私が日頃糧としたこの空しい希望が
どうなってしまうかは目にも明らかなこと.
14
COM. ――病の床に臥せるラウラについて.
5. 自然がこの魂を捉えておく絆:魂を現世の肉体と結びつける絆.
13. この空しい希望:Cf. ‘fra le vane speranze e 'l van dolore’ (Rvf. 1, 6).
2017/07/25
▲戻る
© 2016- Tetsufumi Takeshita All Right Reserved.