Petrarca, F., Canzoniere

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ポー河よ,お前はその力強く激しい流れで
わたしの肉体を運び去ることもできるだろう.
だがそのうちに隠れた魂は
お前の力も他の力もものともしない.
4


この魂は,右へ左へ向きを変えることなく,
憧れに向けて順風に乗り真っ直ぐと
黄金の葉を目指して翼を羽ばたかせ,
波や風も,帆や櫂も打ち破る.
8


気高く誇らしい,他の河川を統べる王よ,
一日が連れ来る太陽を迎え,
美しき日輪を西の方へ委ね渡す河よ.
11


我が死すべき身体はお前の角に運ばれていく.
だがもう一方は愛の羽根に包まれて
甘美な居場所へと飛び還っていくのだ.
14


COM. ―― 7. 黄金の葉:黄金の葉を持つ月桂樹=金髪のラウラ. 12. お前の角に:河は雄牛の角を持つ姿でイメージされた.Cf. ‘et gemina auratus taurino cornua vultu | Eridanus’ (Verg. Georg. IV 371f.). 13. もう一方は:魂は.

2017/08/03


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