Petrarca, F., Canzoniere

106


うら若き天使が巧みな翼に乗って
天から瑞々しき岸辺へと降り立った,
私が独り,定めにより過ぎ行くところへと.

私には仲間も付き添ってくれる伴もなかったため,
彼女は絹で編んだ罠を
5

緑の道のびる草地へと仕掛けた.

かくして私は捕らえられ,魅了されてしまった,
彼女の眼からはかくも甘美な光が放たれていたのだ.

COM. ―― 3. 定めにより:per mio destino. あるいは《偶々》くらいかもしれない.


▲戻る