Petrarca, F., Canzoniere
62
天の父よ,失われた日々の後,
空しく過ごした夜の後
――私を不幸へと誘う
かくも優雅な振舞いに見とれて心に燃え上がった
激しい憧れと共にあった日々の後,
4
どうかその光をもって恵みを施し,私を第二の生へ,
そしてより立派な仕事へ向かうことを許したまえ.
そうして,網を仕掛けるも空しく
我が酷き敵の角を挫きたまえ.
8
今や,我が主よ,私がこの無慈悲な軛
――
従順な者にこそ一層苛烈な軛
――に繋がれて
十一年目のときが巡りゆく.
11
我が不面目な苦しみを憐れみたまえ.
定めなき想いをより善き道へと導きたまえ.
今日貴方が十字架に掛けられたことを思い起こさせたまえ.
14
COM. ――
3. 優雅な振舞い:ラウラの所作.
8. 我が酷き敵:悪魔,あるいは愛神.
11. 十一年目のとき:14行参照.
12. 不面目なnon degna. あるいは《不当な》か.
14. 十字架に掛けられたこと:キリスト受難の聖金曜日.また詩人とラウラの出会いの日(Cf. Rvf. 3).
2017/11/14
▲戻る
© 2016- Tetsufumi Takeshita All Right Reserved.